福井県敦賀市刀根(つるがし とね)にあった玄蕃尾城(げんばお じょう)は、賤ヶ岳の戦いにおいて柴田勝家(しばた かついえ)の本陣となった山城です。
古地図を見ると、昔は玄蕃尾城の近くを滋賀県余呉町柳ケ瀬(よごちょう やながせ)から福井県敦賀市刀根を経て敦賀へと抜ける敦賀道が通っていたので、重要な拠点だったようです。
今日久しぶりに県道140号線を通ったら、案内標識の「玄蕃尾城跡」の文字が気になったので、ちょっと寄り道して散策してきました。
玄蕃尾城跡のふもとの駐車場へ
国道8号線から国道365号線へ抜けようと思って、県道140号線を西から東へ走っていたら、柳ヶ瀬トンネルの西側の入り口の手前で、玄蕃尾城跡への案内標識を見付けました。
以前どこかで「玄蕃尾城」の文字を見たような気がするので、とても気になります。
ということで行ってみることにしました。

案内標識に従って北へ左折し、すれ違うのが難しそうな林道を道なりに進んでいきます。
すると道の突き当りが広くなっており、自動車が停められるようになっていました。
祠(ほこら)?の中にパンフレットがあったので、1枚もらって出発です。
駐車場から玄蕃尾城跡へ

玄蕃尾城跡へと導く案内板によると、徒歩約20分とあるので、そんなに遠くはなさそうです。
ただ梅雨時なので登り始めだけ、道に水が流れていました。
額アジサイを見ながら 敦賀道のお地蔵さん 敦賀道の刀根越え(久々坂峠) 分岐点(左)玄蕃尾城跡(右)行市山砦跡 丸太の階段を登って なだらかな道を奥へ
案内に従って、きれいに整備された登山道を登っていくと、すぐに山の上に着きました。
平らな場所が広がっていますが、まだ玄蕃尾城跡に着いた訳ではありません。
玄蕃尾城跡は、さらになだらかな道をしばらく奥の方へ、歩いていったところにあります。
案内板にある「久々坂峠」は、「久良坂峠(くらさか とうげ)」なのでは?、と思っています。
滋賀県余呉町柳ケ瀬の案内板には、「倉坂峠」と書かれていました。
草書体の「良」は、ひらがなの「ら」の元になった字で、「々」に似ています。
玄蕃尾(内中尾山)城跡

さて玄蕃尾城跡の入り口まで来ると、地元の教育委員会が立てた案内がありました。
そこの玄蕃尾城跡要図によると城跡はずっと奥まであって、かなり大規模なもののようです。
ちなみに賤ヶ岳の戦いにおいて、柴田勝家は戦わずにこの山城から撤退してしまいました。
そのため玄蕃尾城はどこも破壊されておらず、良好な状態のまま現在に至っています。
玄蕃尾城の名前は、柴田勝家の配下の佐久間玄蕃允盛政(さくま げんばのじょう もりまさ)に因んでいると言われています。
(1)大手郭

大手郭の周りは小高い土塁で囲われており、その手前には堀が造ってあるので、攻め込むのに苦労しそうです。
大手郭(左) 大手郭(中) 大手郭(右)
オモテ出入り口にあたる南虎口から入ると、大手郭は広くてすこし高台になっており、大勢の兵士が敵兵の侵入を阻止するため、待ち構えていそうです。
(2)虎口郭

大手郭の奥にある虎口郭の東虎口へと続く(10)土橋を通る敵兵は、左側の土塁から槍や弓矢で攻撃されて、右側の崖に落とされるようになっています。
虎口郭(左) 虎口郭(中) 虎口郭(右)
虎口郭は道が二手に分かれているので、敵兵はどちらに進もうか迷ってしまいそうです。
ちなみに右側の道は谷筋を通って、一気に北国街道まで下りられる構造になっています。
(3)馬出郭(大手側)

馬出郭(大手側)は主郭の虎口を隠しながら、三方向の敵兵に対して弓矢を射られるような構造になっています。
主郭に入るには、ここを L字に曲がらなければなりません。
(4)主郭

主郭へ行くには馬出郭の前を通って、この土橋を渡る必要があります。
主郭(左) 主郭(中) 主郭(右)
主郭はいちばん重要な場所なので強固な守りを施すため、周囲を高い土塁で囲んでその外側に堀が造ってあります。
(8)櫓台

主郭の北東(鬼門)の一角には、櫓台(やぐらだい)だと考えられている場所があります。
当時は城の周囲に木が無かったはずなので、櫓に上るとはるか遠くまで見えたことでしょう。
(5)馬出郭(搦手側)

馬出郭(搦手側)も主郭の虎口を隠しながら、三方向の敵兵に対して弓矢を射られるような構造になっています。
主郭に入るには、やはりここを L字に曲がらなければなりません。
(6)搦手郭

搦手郭(からめて ぐるわ)への行き来は、L字に曲がった(11)土橋を渡らなければなりません。
搦め手郭(左) 搦め手郭(中) 搦め手郭(右)
搦手郭は郭の中でいちばん面積が広いので、兵士が滞在したり物資を蓄えたりした場所だと考えられています。

ウラ出入り口にあたる北虎口から外へ出て、左の方へすこし歩いてみました。
平らな場所がありましたが、どのような場所かはまだ特定されていないようです。
あとがき

玄蕃尾城跡を散策していると、次第に霧が濃くなって、見通しが悪くなってきました。
すでに一通り歩いていたので、すぐに下山したのですが、早めにふもとに下りて正解でした。
天気の悪い日の山歩きは、気を付けたいと思います。
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