福井県南条郡南越前町には、鉢伏山(はちぶせやま)があります。
杣山城の駐車場で無料配布されていたリーフレット「MINAKOI」に、初級の山として載っていました。
ということで、鉢伏山に登ってきました。
以前から気になっていた、旧北陸道の木ノ芽峠にも訪れています。

木ノ芽峠から、観音丸城跡を通って、スキー場の中を登り、鉢伏山頂上の鉢伏城跡まで来ました。
木ノ芽峠から旧北陸道を歩いて


さて鉢伏城跡からは登ってきた道を下って、木ノ芽峠まで戻ってきました。
ここからは旧北陸道を通って、言奈地蔵堂へ向かいます。


鉢伏山は今庄365スキー場になっているので、旧北陸道はゲレンデを横切るように続いていました。
むかしの人が苦労して通った道が、今ではスキー・スノボのジャンプ台になっています。
ゲレンデから森の中へ入ると、カーブした旧北陸道の谷側が盛り上げてありました。
谷側へ滑り落ちにくいように工事して、迂回路として利用されているようです。
言奈地蔵堂の前にて

旧北陸道をしばらく歩いていると、茅葺屋根の言奈地蔵堂(いうなじぞうどう)にたどり着きました。
お堂の中に安置された言うな地蔵には、つぎのような謂(いわ)れがあるそうです。
言うな地蔵のいわれ
昔むかし、馬子(まご)が大金を持った旅人を馬に乗せて、峠道を登ってきたそうです。
ところが大金に目がくらんだ馬子は、人目のないことを幸いに、その旅人を殺してしまいました。
あたりを見回すと道端に地蔵の目があったので、思わず「地蔵言うな」とつぶやいてしまいます。
すると物言わぬはずの地蔵が「地蔵は言わぬがおのれ言うな」と返したそうです。
驚いた馬子は、二度と悪事を働かないと改心したのでした。

さて年月が流れ、馬子はたまたま旅の道連れになった若者と一緒に、地蔵の前まで来ました。
話の成り行きで、過去に旅人を殺して大金を奪った経緯(いきさつ)を話してしまいます。
じつは若者は馬子に殺された旅人の息子で、親のかたきを探してあちこち尋ね回っていたのでした。
若者は馬子と一緒にそのまま敦賀まで行って、名乗りを上げてかたきを討ったとのことです。
結局、自らの過去の悪事を他人に言ったのは、馬子自身なのでした。
あとがき


鉢伏山からの帰り道、滋賀県へ向かって国道365号線を走っていると、栃ノ木峠の説明板がありました。
以前から気になっていたのですが、旧北陸道の木ノ芽峠を訪れたので、ついでに訪れてみることに。
栃ノ木峠は旧北国街道の要衝で、まわりにトチノキが群生していたことから、そう呼ばれているのだとか。
木ノ芽峠と同じく、こちらも近くにスキー場があります。

かつては、福井県今庄宿から栃ノ木峠を越えて滋賀県木之本宿まで、丸一日の行程だったそうです。
現在は自動車なら 1時間ほどで越せるので、楽な時代になりました。
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