この前テレビでニュースを見ていたら、神社やお寺の建造物に貼られた、大量の「千社札」が問題になっていました。
その多くは、手を伸ばしたとしても全く届かない、高い場所に貼られています。
そのような「千社札」を剥がすにはハシゴなどが必要になり、作業は危険と時間を伴います。
神社やお寺の許しを得ることなく「千社札」を貼ることは、法律に触れないのでしょうか?
ちょっと考えてみました。
もし自宅の塀に貼り紙されたら
ところで、自分の家や持ち物に断りもなく貼り紙がされていたら、どう感じるでしょうか?
それを喜ぶ人なんて、どこを探してもいないと思われます。
もし自宅の塀や壁に、勝手にポスターが貼られていたら、すぐに剥がしてしまうでしょう。
また、その連絡先に電話して文句を言うはずです。
「自分がされて嫌なことを、他人(ひと)にしては駄目ですよ」
小さい頃に親や先生から、口を酸っぱくして言われたことだと思います。
神社やお寺も同じなのでは?
「千社参り」を古くからある伝統として、明らかに「千社札」を許可している神社やお寺なら、常識の範囲内で貼っても良いでしょう。
- 神主さん
- お坊さん
ただ通常「千社札」を貼る場合には、そこの権利者の許可を得なければなりません。
神社やお寺の人に隠れてこっそりと「千社札」を貼りに来て、見付かった途端に猛ダッシュで逃げるのは、正しい「千社参り」の作法ではないと思います。
そのような人に神様や仏様が、「千社参り」のご利益を授けてくれるとは思えません。
法律的には損壊罪のおそれ
- 神社
- お寺
許可なく神社やお寺の建物などに「千社札」を貼り付けた場合には、次のような罪に問われるおそれがあります。
- 建造物損壊罪(刑法260条) …… 他人の建造物や艦船を損壊した者には、5年以下の懲役という刑罰を与える。
- 器物損壊罪(刑法261条) ……… 他人の物を損壊したり傷害したりした者には、3年以下の懲役または 3万円以下の罰金・科料という刑罰を与える。
また文化財保護法で保護の対象に指定されている場合、さらに罪が重くなります。
有名人が「千社参り」をしているからといって、許される訳ではありません。
御朱印集めに宗旨変え
「千社札」を貼るのは止めて、「御朱印」を集めてはどうでしょうか。
神社やお寺にとって、「千社札」は剥がす費用が掛かるため損失ですが、「御朱印」は収入になり神社やお寺の経営が潤います。
また「千社札」を他人に気付かれないように貼って回るよりは、「御朱印」を社務所や寺務所で正々堂々と集めて回る方が健全です。
もし参拝したことを自慢したいのであれば、「千社札」を見付けてもらうのを待つより、「御朱印帳」を見せ合った方が早くないですか。
あとがき
「千社札」には地域名と氏名やあだ名などが印刷されていますよね。
貼った本人は、地元の仲間内にしか判らないと思っているかも知れません。
しかし警察が本気になって、印刷所などを虱(しらみ)潰しに調べれば、「千社札」を貼った本人の身元がすぐに判明することでしょう。
「千社札」は時代の傾向にそぐわなくなったのではないですか?
自分の足跡は、他人(ひと)に喜ばれる形で残したほうが良いと思います。
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