滋賀県の琵琶湖の東側には、湖東三山(ことうさんざん)とよばれる、古くから続く 3つのお寺があります。
龍応山 西明寺と松峰山 金剛輪寺、釈迦山 百済寺がそれです。
紅葉の時期も美しいですが、人気(ひとけ)の少ない時期も、趣(おもむき)があって良いものです。
ということで、暖冬で雪がまったくない真冬の百済寺を訪れてきました。

百済寺の駐車場から石段を登って寺務所で受付を済ませ、お釈迦様が悟りを開いた木である菩提樹と、小野道風直筆と伝わる「下乗」の石碑を見たあとは、本坊の庭園に向かいました。
本坊の庭園を回り縁から
分岐点(左)回遊コース(右上)遠望コース 閑散とした池
本坊の庭園に入ると、すぐに回遊コースと遠望コースの案内板がありました。
回遊コースは池の中に置かれた長い飛び石を、遠望コースは上へと続く石段を、進むことになります。
いつものように回遊コースを見て歩くことにしたので、池の方を見てみました。
今回は、建物の回り縁(えん)に座っている人も、池の向こう側を歩いている人もいないようです。
庭園の池(左) 庭園の池(中) 庭園の池(右)
折角なので、ひとり回り縁に座って、しばらくの間、池泉回遊式鑑賞式庭園を眺めてみることに。
紅葉の時期のような色彩はないので華やかさはありませんが、何となく趣(おもむき)がありました。
庭園の池のほとりを回遊
池の奥の石橋 苔むした大石 飛び石を渡って ミニアチュアの渓流 建物の裏手から 石段を登っていく
ということで、池泉回遊式鑑賞式庭園を順路にしたがって、時計回りに回遊してみました。
鮮やかさはありませんが、石の白色と苔(こけ)の緑色とが相まって、そこはかとなく美しさを感じます。
また池に浮かぶ飛び石の上を歩くのも、ちょっぴりスリルのあるアトラクションのようです。
飛び石を渡っているうちに、何だか楽しくなってきました。

さて池を回って山の斜面の近くまで来ると、順路は一旦建物の裏手へと続きます。
裏手からは石段を登って、山の斜面に作られた庭園へと向かいました。
庭園の山側の不思議なせせらぎ
いくつも配置された大石 遠望台への道 飛び石をはさんで石畳
本坊の庭園は、池の周りだけでなく、山の庭園も至るところに大量の大石が配置されています。
またそこを通る道は、ほとんど石畳になっていました。

さて山側の庭園の中を歩いていると、不思議なことにせせらぎが、ほぼ等高線に沿って流れていました。
水は自然界で普通、高いところから低いところへ、等高線に直交して流れるものです。
インドから中国を経て日本へ、仏教伝来に思いを馳せるため、「オアシスの水音」を再現しようと、せせらぎを人工的に造ったようです。
天下遠望台からの眺め
ハナノキの横を奥へ 大岩を回り込んで 天下遠望台
順路にしたがってすこしずつ階段を登り、次第に庭園の高い場所へと上がっていきます。
すると「天下遠望台」と名付けられた展望台に着きました。
天下遠望台の周りには、百済寺についての歴史が書かれた解説板などが、いくつも設置されています。

天下遠望台から景色を眺めると、太郎坊宮がある箕作山(みつくりやま)や観音正寺がある繖山(きぬがさやま)、霞(かす)んでいますがはるか遠くに延暦寺がある比叡山が見えました。

ちなみに天下遠望台には「百済寺 天下遠望之図」が設置されています。
山やまの特徴が、かなり大げさに描かれているので、まったく別の景色になっていました。
つぎは百済寺の本堂に向かいます。
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