滋賀県の琵琶湖の東側には、湖東三山(ことうさんざん)とよばれる、古くから続く 3つのお寺があります。
龍応山 西明寺と松峰山 金剛輪寺、釈迦山 百済寺がそれです。
紅葉の時期も美しいですが、人気(ひとけ)の少ない時期も、趣(おもむき)があって良いものです。
締めくくりとして、暖冬で雪がまったくない真冬の西明寺を訪れてきました。

本堂の内陣の中に入って、日光・月光菩薩などの像を拝んだあとは、飛騨国の大工が建てた三重塔と、その裏山にある宝塔を見てきました。
四天王のうちの二尊が守る、二天門
阿形持国天像 二天門から本堂を見て 吽形増長天像
西明寺の本堂と三重塔を見たので、二天門をくぐって山を下りることにします。
振り返ると二天門の中には、四天王のうちの持国天と増長天という二尊の像が安置されていました。
他所(よそ)のお寺では、よく連子窓や金網が取り付けられていますが、西明寺の二天門は開放的です。
何も覆い隠すものがないので、二尊の姿をじっくりと見られました。
過去に撮った写真を見ると、仁王門も二天門も、連子窓や金網があと付けされたようです。
このままの状態がずっと維持されるよう、手を触れずに見るのが良さそうです。
年月を経て寄り添った、夫婦杉
霊木夫婦杉 後ろ側からスギの若木が
霊木夫婦杉(千年杉)は、もともと別べつのスギの木だったそうです。
それが長い年月を重ねるうち、幹が太くなって、1つに癒着(ゆちゃく)してしまいました。
スギの木は雌雄同株なので、本来オスとメスの区別はありません。
人間(ひと)はロマンチストなので、他の生き物たちのことも、人間になぞらえて考えてしまうようです。

ただそうは言っても、人間のこころは弱いので、何かにすがりたくなるものです。
息災延命のご利益があるそうなので、幹にそっと手を当てて、霊気を頂いておきました。
西明寺のことが好き by 苔

西明寺を散策していると、至るところに苔(こけ)がびっしりと生えています。
ひとが踏みつけると、苔が消えてしまうので、参拝者のみなさんも大事にされているのでしょう。
群生する苔(左) 群生する苔(中) 群生する苔(右)
苔が、自宅に生えているといい気はしませんが、古いお寺にはむしろ生えていて欲しいです。
お寺に苔が生えていないと、趣(おもむき)がないような気さえします。
西明寺の苔は、西明寺のことが好きなのだそうです。
冬場は紅葉がないので、その代わりとして、西明寺に彩りを添えてほしいです。
竹垣で囲われた、開山休息石

頑丈な竹垣で三方を囲まれた大きな石は、開山休息石とよばれています。
開山休息石とは、お寺を開いた三修上人(さんしゅう しょうにん)が、腰掛けて休まれた石という意味です。
もちろん当時は石の周りに竹垣など無く、石に苔も生えていませんでした。
三修上人は信者たちにとって信仰の対象で、その一挙手一投足が話題に上ったのでしょう。
ただ石に腰掛けていただけで、現代まで語り継がれるなんて、たいへんなことです。
あとがき
帰り道(左) 帰り道(中) 帰り道(右)
お寺にお参りするとき、長い参道を歩いて登るのは辛いので、よく自動車で中腹まで登ってしまいます。
ただそのせいで、これまで面白いものを見逃していたようです。
今回、西明寺の参道を登ってみたら、参道沿いにある僧坊群跡や巨大石垣を見られました。
何か発見があるかも知れないので、たまにはふもとから参道を登ってみたいと思います。
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