米原市の公式ウェブサイトでは、トレッキングマップがPDF形式で無料配布されています。
それによると米原市内の山やまには、トレッキングコースが整備されているようです。
今回はそれらの中から一番気になった、松尾寺山(まつおじやま)に登ってきました。
松尾寺山は、滋賀県米原市上丹生(まいばらし かみにゅう)にある低山です。

松尾寺山頂上の分岐点から旧本堂跡へ向かい、途中で影向石を見たあとは、基壇だけになった旧本堂跡を訪れ、石段下にある坊院跡を見てきました。
鐘つき堂跡と石造九重塔
石段を戻って 鐘つき堂跡の奥に九重石塔
ということで、倒木をくぐって石段を登り、松尾寺旧本堂跡まで戻ってきました。
つぎは、石造九重塔(いしづくり くじゅうのとう)を見に行きます。
石造九重塔の手前にあるシンプルな基壇は、鐘つき堂跡のようです。
松尾寺旧境内図では鐘楼跡になっていましたが、鐘楼は 2階建てなので、建てるには基壇が狭すぎます。

さて松尾寺の石造九重塔は、5メートルあまりの背の高い石塔です。
松尾寺山で石造りのものは、よく手短な石灰岩で造られていますが、花崗岩製なので保存状態が良いです。
悪さをすると挟まれる、はさみ岩
松尾寺裏参道(左) 松尾寺裏参道(右)、石造九重塔
石造九重塔からは、地蔵峠に向かいます。
はじめは行き止まりなのかと思いましたが、鐘つき堂跡のあたりから、裏参道の石段が始まっていました。
はさみ岩 振り返ってはさみ岩
裏参道の途中には、両脇に大岩があるため道が狭くなっている、はさみ岩とよばれる場所があります。
松尾寺山で悪さをすると、この場所で岩に挟まれて動けなくなるのだとか。
ただそれにしては谷側の岩が低すぎるので、むかしはもっと背の高い岩だったのでしょう。
岩に亀裂が入っており脆(もろ)そうなので、途中でポッキリと折れてしまったのでしょうね。

東近江市の太郎坊宮の夫婦岩も、別名「はさみ岩」とよばれているようです。
ウソをついた者が通ると、同じように岩に挟まれてしまうのだとか。
役行者の斧割水
裏参道から続く横掛け道 役行者の斧割水(割れた大岩)
はさみ岩から横掛け道を歩いていくと、地面がしっとりと濡れている場所がありました。
ここは、役行者の斧割水(えんのぎょうじゃ の よきわりすい)と名付けられた場所です。
役行者は、役小角(えん の おづの)の通称で、飛鳥時代に実在した呪術者。
山岳信仰のひとつ修験道の開祖とされ、各地でお寺を建立したり修行したりした伝説が残る。

昔むかし、役行者が松尾寺を建てられたとき、近くに水場がなくてたいへん困りました。
大岩に祈願して斧(よき)を振り下ろしたところ、大岩が割れて清水がこんこんと湧き出しました。
ちなみにふもとの松尾寺では、役行者の斧割水が飲めるようです。
山肌を黒いホースが伝っているので、水源からふもとの松尾寺まで、水を引いているのでしょう。
勧善院跡と養運院跡
横掛け道 奥へと続く石垣 勧善院跡
さらに横掛け道を歩いていくと、山側にすっかり苔むした石垣がありました。
石垣の上は広場になっており、松尾寺に属する勧善院が建っていたそうです。
石垣の下を歩いていくと 左に坊院跡 養運院跡
その長い石垣の下を歩いていくと、今度は養運院跡がありました。
松尾寺の坊院跡は尾根筋に限らず、良さそうな場所なら、どこにでも建てたようです。

小屋が倒壊していましたが、屋根や壁板がトタンなので、養運院ではないと思われます。
つぎは、松尾寺山砦跡へ行きます。
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