TBSテレビの「がっちりマンデー!!」を見ていたら、「水ビジネス」特集をしていました。
世の中にはあやしい水ビジネスが多いですが、探せばスゴイ水ビジネスもあるのだそうです。
その中で特に気になったのは、岡山理科大学工学部の山本俊政准教授が開発したという第三の水です。
海水魚でも淡水魚でも早く大きく育つという、魔法のような水があるのだとか。
海水魚と淡水魚が一緒に泳ぐ水槽
論より証拠ということで、番組内では実際に大学内にある水槽を見に行っていました。
水槽の中では、海水魚のメジナと淡水魚のゴールデングラミーが一緒に泳いでいます。
もちろんその水槽の中に満たされているは、第三の水です。
第三の水の中なら、海水魚でも淡水魚でもどちらでも養殖できるのです。

つぎに水産試験場のような場所へ行くと、ウナギやハタ、トラフグやエビなどが養殖されていました。
第三の水の有用性を確認するため、さまざまな魚介類で実験しているようです。
海水魚と淡水魚の体のしくみ
そもそも海水魚と淡水魚では、同じ魚類でも体のしくみが違います。

海水魚は、体液の塩分濃度の 3.5倍もある、海水という過酷な環境下で生きています。
浸透圧によって絶えず体の中から水が抜けていくので、水分を口から摂るしくみになっています。

淡水魚は、塩分濃度がほぼ0 の、淡水の中で生きています。
浸透圧によって絶えず体の中へ水が入ってくるので、水分を尿として出すしくみになっています。
浸透圧とは、濃度の異なる 2つの溶液を半透膜を介して接触させたとき、濃度の低い方から高い方へ溶媒が移動する現象。浸透圧は、2つの溶液の濃度が等しくなるように働く。
なお海水魚を淡水の中に入れると、浸透圧によって体に水が入ってくるので、水ぶくれになって死にます。
また淡水魚を海水の中に入れると、浸透圧によって体から水が出ていくので、脱水症状になって死にます。
第三の水とは
岡山理科大学では、海水魚でも淡水魚でも生きられる水のことを「第三の水」と名付けました。
もちろん、海水でも淡水でもありません。

第三の水は、普通の真水にナトリウムとカリウム、カルシウムの配合物を混ぜて作ります。
どんな魚にとっても必要な成分とのことなので、配合比率は海水と同じだと思われます。
また第三の水の濃度は、海水の 4分の1 にするようです。
魚の体液の塩分濃度と同じにする、ということに何か秘密がありそうです。
第三の水の効果
第三の水の塩分濃度は、魚の体液の塩分濃度と同じです。
浸透圧による水の出入りがないので、魚は余分なエネルギー消費を減らせるのだとか。
そのため第三の水で海水魚や淡水魚を育てると、本来の水で育てるより、早く大きく成長するそうです。
きっとエネルギーを効率よく成長に使っているのでしょう。

第三の水を使うと、儲かる魚をどんどん育てられる、と。
岡山理科大学工学部の山本俊政准教授が、声を大にして仰っていました。
あとがき
海から遠く離れた山奥で、運んできた海水を使って魚を養殖する話をたまに聞きます。
ただもし海水が農地に漏れ出たり廃棄されたりすると、塩害が出て農作物が育たなくなってしまいます。
ところが第三の水ならば、たとえそうなったとしても、塩害のおそれが極めて少ないそうです。
塩分濃度が海水の 4分の1 なので、問題にならないのかも知れません。

ちなみに魚の養殖で使った第三の水を利用して、農作物を水耕栽培する実験も行われています。
魚のフンが良い肥料になって、美味しい野菜ができるようです。
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