近いうちに文化庁が、「日本人の名前をローマ字で表記するときは、『姓・名』の順序とするように」と関係各所に通知するそうです。
実は 2000年の時点で、文化庁の国語審議会が「ローマ字表記でも『姓・名』の順が望ましい」と答申を出していました。
しかし周知を徹底しなかったようで、今もなお答申の内容が国民に浸透していません。
改元したからなのか、文化庁はもう一度それを周知することにしたようです。
外国人の名前はカタカナ表記でもそのまま
ボクは中学校の英語の授業で、英語では名前を「名・姓」の順に並べるのだと習いました。
最初のうちは教えられたことを疑いもせず、その通りに書いたり言ったりしていました。
ところが、テレビのクイズ番組に出てくる外国人のネームプレートを見たときに、違和感を感じました。
彼らの名前はカタカナ表記になっているにも関わらず、名前の順序が「姓・名」になる訳ではなく、依然として「名・姓」のままだったのです。
明治政府の欧化主義の影響
そもそも日本人の名前をローマ字で表記するときに、なぜ「名・姓」の順にするようになったかというと、それは明治政府の「欧化主義」の影響です。
- 江戸時代の町人
- 江戸時代の町娘
もともと日本は独自の発展を遂げて、西洋諸国に引けを取らない文化水準を持っていました。
ところが西洋人たちは、自分たちと異なった身なりをしている日本人を、勝手に未開人だと決めつけて、研究対象にしていたようです。
未開人だと思われたままでは、まともな外交関係など結べません。
そんな状況を解消するために、やむを得ず西洋の制度や文化などを取り入れたようです。
世界には洗礼名や父称などが付く人も
日本人は明治時代になって、すべての人が公的に「姓」を名乗れるようになりました。
日本人の中には洗礼名などを持つ人もいるでしょうが、戸籍上は「姓・名」だけです。
ただ世界中の人が、順序はどうあれ「姓」と「名」の組み合わせだけかというと、文化的な背景や宗教などもあり、そうとは言えません。
「姓」と「名」の他には「洗礼名」や「父称」などもあり、組み合わせも様々です。
有名な画家のピカソのように、歴代のご先祖様の名前をすべて並べた名前もありました。
単純に順番をひっくり返すだけでは済まないので、よその言語で表記したとしても通常、順序はそのままなのです。
たとえば、「吾助の息子、権兵衛」や「吾助の娘、およね」のようなもの。
どちらが「姓」でどちらが「名」か
さてボクは、むかしから名前のローマ字表記は「姓・名」の順にしています。
ただ普通に書いてしまうと、どちらが「姓」でどちらが「名」かが判りません。
それを解決するために、「姓」はすべて大文字で表記することにしています。
たとえば「やまだ たろう」ならば、「YAMADA Taro」と書きます。
むかしテレビ番組で誰かが言っているのを見たのですが、判りやすいので、その書き方をそのまま採用しています。
あとがき
文化庁は、日本人の名前のローマ字表記を「姓・名」の順に変えたいようですが、国民にしっかり周知しないと、定着しないでしょうね。
未だ省庁によって、ローマ字表記に「姓・名」と「名・姓」のバラツキがあるそうです。
最近の英語の教科書がどうなっているかは判りませんが、出来ていなければ、まずはそこから始めて、様々なメディアを通して定期的に周知することが必要でしょうね。
コメント