五個荘(ごかしょう)の近江商人(おうみしょうにん)に興味があったので、滋賀県東近江市(ひがしおうみし)の五個荘を訪ねることにしました。
外村宇兵衛邸の拝観が済みましたので、道をはさんで南西にある外村繁邸に行きます。
うどんと天ぷらで腹ごしらえ

すぐに外村繁(とのむらしげる)邸に行こうかと思いましたが、お腹も空いてきました。
入り口の向かいに、おあつらえ向きのうどん屋さんがありましたので、食べていくことに。

一応、入り口の横に貼ってあるメニューも見ましたが、店内でもう一度メニューを開いて、結局お店がおすすめしている「いっぺき御膳」を注文しました。

「いっぺき御膳」とは、うどん、ご飯、天ぷら、惣菜などがセットになったもので、うどんは温かいものと冷たいものから選べます。

その日は熱中症寸前の暑さだったので、もちろん冷やしうどんを選択しました。
おいしかったので残さず食べたのですが、思いのほかお腹が一杯になってしまいました。
外村繁邸へいざ潜入!

では改めて、外村繁邸(外村繁文学館)へ入ります。
外村繁さんは、芥川賞こそ候補で終わりましたが、3つの賞を受賞した小説家です。

そのとき館内では、「懐かしのうちわ展」という催し物が開催されているようでした。
よく判りませんが、団扇に竹久夢二の絵のような女性の姿が描かれているようです。

門をくぐったところには、またもや川戸(かわと)がありました。
川戸とは、野菜や皿、鍋や釜を洗ったり、鯉を飼ったり、防火用水にもなる場所です。
ただ外村繁邸の川戸には、女性のことを考えて、石製の椅子が設置されています。
外村繁邸の母屋に

外村繁邸の井戸の脇を通って、玄関へと続く石畳の道を歩いていきました。

玄関先には、昔使われていたであろう、大小の手押し式消防ポンプが展示してあります。
昔から、井戸や川戸から水を汲みやすいこの場所に、置いてあったのでしょうか。

玄関を入ると、ここも「懐かしのうちわ展」のようで、引き戸に団扇が飾られています。
赤くひときわ大きな団扇には、宝船に乗った七福神が描かれています。

つぎの茶の間には、昔のラジオ、電話機やレコードプレーヤーが展示してあります。
団扇に隠れているレコードラックは、藤井彦四郎邸の洋館で見たものと、全く同じです。

なお、ちゃぶ台の上の団扇は、観光客へのおもてなしで、自由に使っていいようです。
外村繁邸の台所の仕掛け

その奥へ進むと、昔ながらの台所になっています。

この台所には素晴らしい仕掛けがあって、奥の井戸で水を汲み上げて、すぐ横にある四角い木製の風呂水槽に入れると、お風呂場の浴槽に水が入るようになっています。

実は、井戸の横の風呂水槽と浴槽が、地面の下を通る埋み樋(うずみひ、埋設水道管)でつながっているのです(パスカルの原理:水面に大気圧がかかり、水面の高さが釣り合う)。

ただその浴槽とは、おもに家族で使用する、台所の横の五右衛門風呂ではないはずです。

この家の主人とお客さまが使われる、庭にあるお風呂とつながっているのでしょうね。
なぜなら、生きた銭(ぜに)を使うのが、近江商人の始末の心なのですから。
つぎは外村繁邸の座敷を見て回ります。
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