TBSテレビの「がっちりマンデー!!」を見ていたら、「ニュータイプ農業」について特集していました。
新しい形態の農業が紹介されていたのですが、その中で特に気になったのはサカキの栽培です。
サカキとは漢字で「榊、賢木」と書く、モッコク科(または、サカキ科)の常緑小高木です。
日本では古くから、神棚や神社の社殿などに供えられる植物で、神事には欠かせません。
サカキはかつて、ツバキ科に属していましたが、近年見直されたようです。
そんなサカキを、ちょっと変わった場所で栽培していました。
栽培していた場所は何と、農地に設置されたソーラーパネルの下です。
神棚のサカキ
日本では古くから、屋内の高い場所に神棚を設置して、神道の神様を祀(まつ)ってきました。
それは一般家庭だけに留まらず、店舗や会社、柔道や剣道の道場など、さまざまな場所で見られます。

神棚にはサカキが付き物で、手に入らない地域では他の植物で代用しますが、かならず供えます。
しかし、枯れてしまったサカキをそのまま供えておく訳にはいきません。
神棚のサカキは一般的に毎月 2回、1日と 15日に交換するようです。
つまりサカキは定期的に取り替えるので、安定して売れるということになります。
サカキの多くはこれまで中国産
サカキはこれまで、その多くを中国産に頼ってきたそうです。
その割合はおよそ 9割にものぼり、日本国内ではほとんど生産されてきませんでした。

そこに注目したのが、東京都青梅市(おうめし)にある(株)彩の榊です。
サカキは、神棚に供えるものが 1束 200円ほどですが、年間売上げは 1億円以上にもなるそうです。
画面に映った(株)彩の榊のサカキを見ると、葉っぱがギザギザなのでヒサカキでした。
サカキは比較的暖かい地域で育つので、それ以外の地域では通常ヒサカキで代用します。
ただ山の中に入って、色や形の良いサカキを見つけて運び出すのは、簡単ではありません。
かなりの重労働になってしまいます。
ソーラーパネルの下でサカキ
ということで、山に自生していたサカキを、生育に適しており、しかも収穫しやすい場所へ移植して、栽培しているそうです。
その場所とは、ソーラーパネル(太陽光発電設備)の下です。

サカキは日かげで栽培することにより、葉っぱが濃い緑色になりツヤが出ます。
見栄えが良いサカキになるので、売り物として価値があるのだとか。
ちなみに日なたで栽培すると、サカキの葉っぱが日焼けして、売り物にならなくなってしまうそうです。
農業を辞めて、農地で太陽光発電
(株)彩の榊では、土地の所有者からソーラーパネルの下の農地を借りて、サカキを栽培しています。
ところが借地料は、無料(タダ)なのだそうです。
農地法が 2013年に改正されて、農地でもソーラーパネルを設置して、電気を販売できるようになりました。
ところがソーラーパネルの下では、引き続き農業を続けなければなりません。
農地の多くはそれまで、農業以外の用途に使用してはならない、と法律で定められていました。

農業を辞めて、売電と年金で余生を送りたい、と思っている人は困ります。
借地料は無料でいいから、ソーラーパネルの下で農業をしてくれる人を探していたという訳です。
あとがき
地主から土地を借りて農業をする人を、むかしは小作人といいました。
借地料はべらぼうに高く、小作人はみな貧しくて生活に困っていたと聞きます。

現代は、地主から土地を借りて農業をしても、借地料は無料になることが多いようです。
時代が変われば、人びとの関係性まで変わるようです。
なお世の中の需要があって日かげを好む植物なら、サカキ以外でも上手くいきそうです。
自分の地域では、どんな植物が適しているのか、考えてみると良いかも知れません。
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