久しぶりに福井県小浜市(おばまし)まで行って海鮮丼を食べようと思い、琵琶湖の北側を通って、国道303号線に向かっていたときのことです。
箱館山(はこだてやま)のふもとを通る県道534号線を走っていると、案内標識に変わった名前のお寺を見つけたので、ちょっと寄ってきました。
酒波寺(さなみでら)の駐車場に自動車を停めて、まずは向かいにある日置神社(ひおきじんじゃ)を参拝してきました。
酒波寺の真新しい仁王門

酒波寺の仁王門は近年、有志の方たちのお布施によって建てられたようです。
お寺の建物が、参道の奥まったところにあるので、以前は道路からその存否が判りにくかったのですが、この仁王門のお陰で誰の目にも存在が明らかになりました。
金剛力士像(吽形) 酒波寺の仁王門、扁額「菩提心」 金剛力士像(阿形)
朱色と緑色の対比が目にも鮮やかなので、思わず仁王門に見入ってしまいます。
それに比べると、守護する金剛力士像(仁王像)の色が、茶色なのであまり目立ちません。
大昔に造られた金剛力士像は現在、みな色褪せてしまいましたが、本来は色が着けられていたようなので、それを再現すると良いのかも知れません。
長い参道を歩いて
酒波寺の長い参道 あずま屋の入り口 あずま屋
奈良時代に行基によって建てられた酒波寺の広大な寺内には 56 もの僧坊があったそうです。
当時はこの長い参道の両側に、多くのお坊さんが住んでいたのでしょう。
その参道を歩いていると、木立の向こうにあずま屋が見えたので、立ち寄ってみました。

あずま屋の横にある池を見ると、散ってしまった桜の花びらが、水面を埋めています。
しかしすぐ隣に立っている桜の木だけは辛うじて、まだ花が残っていました。

今はもう誰もいませんが、参道沿いの桜の花が満開だった頃は、ここに座って花見に興じる人たちがいたのでしょうね。
石段の途中には、大きな行基桜

石段の下にたどり着くと手水舎があったので、手と口を清め、石段を上り始めました。

あまりに桜の木が大きすぎて、最初はまったく気が付かなかったのですが、石段の途中には「行基桜」と名付けられたエドヒガン桜が立っています。
行基が植えた桜ではないようですが、地元の人がそう呼んでいるようです。
ちなみに幹に出来た大きな虚(うろ)の中には、「行基桜」についての説明書きがあります。
酒波寺の質素な山門

石段を上がったところには、酒波寺の山門が建っています。
道路に面した仁王門に比べると質素な造りですが、いかにも古刹といった雰囲気です。
山門の貼り紙によると、境内を整備するために盆栽を売りたいとのこと。
盆栽に興味がある人は、酒波寺を訪れてみてはいかがでしょうか?
ちなみに酒波寺は、山本周五郎さんの短編小説「やぶからし」と「鉢の木」の中に登場します。
新潮文庫の短編集「やぶからし」にどちらも収録されているようです。
さらに酒波寺の中を巡ります。
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