行政書士に成り立てのころ、ちょっと勉強のため登記所に行ったことがありました。
登記所では、誰でも不動産の登記簿謄本(正しくは、登記事項証明書)を取得できます。
ウチの家系が所有する不動産の登記簿謄本を取ってみたところ、ある土地が高祖父名義のままになっていました。
ということで、司法書士の方が書かれた「自分でできる相続登記」という市販の本を参考にして、自分で数次相続の相続登記をしてみました。
不動産の相続登記は概ね済んでいました

ほとんどの不動産に関しては、父が亡くなったときに相続人の間で遺産分割協議書を作成して、名義変更(所有権移転登記)を済ませていました。
その当時はまだ、行政書士でもありませんでしたので、登記についてほとんど知りません。

登記に関することは、登記の専門家がするものだと思っていましたので、司法書士の方にすべてお願いしました。
ただそのとき、高祖父名義の土地に関しては、書類が足りないだかなんだかで、そのままになってしまいました。
高祖父名義の土地は道路敷き

高祖父の名義になっている土地とは、もともと川端にある畑だったところです。
ところが、川を護岸工事して堤防を造成したときに、堤防の下敷きになってしまいました。

道路や堤防の下敷きになった土地は、道路敷きといって他の用途に使えなくなります。
使えない土地には、固定資産税がかかりません。
毎年届く、固定資産税納税通知書に記載されないので、名義変更(所有権移転登記)が忘れられたようです。
生前の父も、どうにかしようと
父にとっては、曽祖父の名義の土地ということになりますが、生前の父もその土地の存在は知っていたようです。

そんな道路敷きの土地は手放したかったようで、役場に掛け合ったりしていたようですが、取り合ってもらえなかったようです。
確か現在(2018.09.11)のところ、特定の土地だけの所有権を放棄できるという、明確な規定は法律のなかに無く、学者の方々の間でも意見が分かれていたはずです。
そもそもその土地は、父の名義になっていなかったのですけどね。
市販の本で相続登記にトライ!
行政書士は、有償無償を問わず他人のために登記に関する業務をできませんが、自分の相続登記はできます。
まずは、司法書士の方が書かれた「自分でできる相続登記」という市販の本を参考にして、登記申請書と相続関係説明図を作成してみました。

ただし司法書士でない一般人は、登記申請前に書類のチェックを受ける必要があります。
登記所で登記相談を予約して、予約した日時に登記相談を受けて、手直しを受けました。
ボクが作った登記申請に関する書類

ウチの場合、父がまだ赤ん坊のころに、祖父が戦死しています。
そのため、曽祖父が亡くなったときは、幼い父が家督相続をすることになりました。
曽祖父が亡くなったときにはまだ、家督相続制度があったのです。
そのため、相続関係が複雑にならずに済みました。

登記相談を受けて作り直した登記申請書と相続関係説明図を以下に示します。
くわしい説明は、法律に抵触するおそれがあるので、市販の本などでお確かめください。
なお人名は仮名に変更し、住所、日付、電話番号や価格などは消してあります。
- 高祖父 …… (仮名)美濃シロウエモン
- 曽祖父 …… (仮名)美濃サブロウ
- 祖父 ……… (省略)
- 父 ………… (仮名)美濃ジロウ
- ボク ……… (仮名)美濃タロウ
登記申請書

相続関係説明図

登記申請書類の提出にも一苦労

さて登記申請書や相続関係説明図に加えて、戸籍謄本や遺産分割協議書など、登記申請に必要な書類をまとめて、登記所の窓口に持って行きました。
すると、もう一度登記相談を受けて、書類のチェックを受けるように言われました。

ただボクは、自宅で何度も書類を確認していましたので、書類の出来に自信がありました。
どうしてもとお願いして、書類を受け取っていただきましたよ。
一週間後、高祖父名義だった土地の名義変更(所有権移転登記)が無事に済みました。
やれやれでした。
あとがき
ウチの場合は、たまたま相続関係がシンプルだったので上手くできました。
しかし、通常は相続人の数がもっと多くなるので、相続関係が複雑になってしまいます。
相続関係説明図は 1枚で足りないぐらい多くなるかも知れません。

そんなときのために司法書士がいます。
不動産の相続登記でお困りのときは、お近くの司法書士までどうぞ!
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