銀(元素記号:Ag、元素番号:47)は、人類にとって何かと馴染みがある金属です。
大むかしから硬貨や食器、装飾品などの材料として、最近ではイオン化(Ag+)して殺菌剤としても使われています。
過去に放送された TBS の「がっちりマンデー!!」を見ていたら、そんな銀を使った塗料を紹介していました。

銀の鏡面性は優れている
じつは銀の鏡面性は、すべての元素の中で飛び抜けて優れています。
金属の表面に銀メッキすると、まるで鏡のように反射して、物が映り込むようになります。

そのため銀は昔から、鏡を作るのに使われてきました。
現在の一般的な鏡は、ガラスの片面にアンモニア性硝酸銀水溶液などを塗って作られます。
ちなみに硝酸銀を塗った面は、鏡のウラ側になります。
銀メッキは素材が限られている
銀メッキとは、一般的に金属材料の表面に銀の薄い層を付着させることや、銀の薄い層そのものを指します。
銀メッキは素材が限られているので、木材や石材、ゴム材などには出来ません。

またメッキをするときには、大量の水を使います。
ただ使い終わった水をそのまま河川などに放流すると、環境問題になってしまいます。
そこで通常は、使い終わった水の水素イオン指数(pH)を中性に戻して、不純物を取り除き、環境に及ぼす影響を極力減らしてから、河川などに放流しているようです。
ナノ技術を使った銀塗料
その一方で、銀をナノ粒子にして作られた塗料(銀塗料)は、素材を選ばず何にでも、簡単に塗れます。

銀塗料をエアブラシの中に入れて、素材の表面を等しく塗り、乾燥させるだけです。
すると銀塗料を塗った素材の表面が、まるで鏡のようになり、物が映り込むようになります。
素材は、たとえば簡単に曲げられるゴムのように、柔らかいものでも大丈夫です。
もし曲げたとしても、簡単に塗装がひび割れたり剥がれたりしないようです。

またたとえば、ザラザラした石材のように、表面に凹凸があるものでも問題ありません。
さらに環境に及ぼす影響が少ないらしく、将来の応用範囲の広がりを期待されています。
株式会社フェクト

そんな銀塗料を製造しているのが、岡山県津山市(つやまし)にある「株式会社フェクト」です。

これまで世の中に同様のものは無かったらしく、世界に先駆けて銀塗料を開発しました。
現在では自動車や家庭用電気製品(家電)など、世界中の様々なものに使われています。
銀塗料を使用した製品を、きっともうどこかで目にしているはずです。
あとがき
「金」と「銀」「銅」を比べた場合、その希少性から、価値が高くなるのは当然「金」です。
オリンピックでも、3つのメダルの中で一番価値があるのは金メダルです。
それゆえ金メダルのことを、「一番良い色のメダル」と言う人もいます。

ただ個人的には、子どもの頃から金色よりも銀色が好きです。
子どもの頃に折り紙一式をもらうと、一番最後まで大事に残しておいたのは銀色でした。
しかし世の中すべてが銀色だと眩(まぶ)し過ぎます。
何ごともほどほどが良さそうです。
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