運転免許証の更新手続きに行くと、交通安全協会の職員の方が受付をしています。
以前は運転者講習センターに受付窓口が数ヶ所あって、それぞれで更新に係る手数料(以下、手数料)と交通安全協会協力金(以下、協力金)を、当然のように一緒に徴収していました。
交通安全協会が集めるお金は、協力金や協会費など、さまざまな名称でよばれます。
法律に定めはなく勝手に徴収しているだけなので、名称がバラバラなのでしょう。

ところが先日、久しぶりに訪れたら、手数料と協力金の受付窓口が、別べつになっていました。
何かが変わったようです。
運転免許証の更新事務は本来、都道府県の公安委員会の仕事で、警察交通部に委任されています。
警察交通部は、さらに随意契約した交通安全協会へ業務委託しています(一部を除く)。
随意契約とは、競争入札をしないで自由に決めた相手と契約すること。
「運転免許証更新のお知らせ」が届いたので
運転免許証の更新時期が迫ると、「運転免許証更新のお知らせ」というハガキが、都道府県の公安委員会から届きます(道路交通法101条3項)。
そのハガキには、更新手続きの場所と受付日時が表示されています。
もちろん手続き期間中なら、住所のある都道府県内の好きな手続き場所に行っても良いのです。
ただ指定された日時に指定された場所へ行くと、更新手続きが円滑に進みます。

ということで先日、ハガキに書かれた運転者講習センターへ運転免許証の更新手続きに行ってきました。
手数料と協力金の受付窓口を分離
定刻になったので行列に並んでいると、受付窓口に違和感を感じました。
これまでは、3つの窓口それぞれで、並行して受付手続きをしていました。


ところが、最初の窓口で手数料を、次の窓口で協力金(任意)を支払うように変わっていました。
名古屋地方裁判所での判決や第3次小泉内閣の閣議決定を受け、2006年に警察庁から出された通達によって変更されたようです。
協力金の支払いは任意なのに
交通安全協会への協力金の支払いは、法律に何の規定もないので「任意」です。
つまり協力金を支払うか支払わないかは、個人の自由なのです。
それにも関わらず、これまで交通安全協会は、任意であることを伝えずに協力金を集めていました。
それゆえ更新手続きに来た人の中には、協力金が義務であると錯覚している人も、未だ多くいるようです。
運転者講習センターにいたら、交通安全協会の協力金を持ってくるのを忘れたので「運転免許証更新のお知らせ」に書いておくように、と係の人に頼んでいる奇特な人を見掛けました。

ただ受付窓口は変わりましたが、交通安全協会の職員の方の意識までは、変わっていないようです。
協力金の支払いは「任意」であるとは一切言わず、こちらの良心に訴えかける文言を並べてきます。
「払いません」と言うと、あとで管轄の警察署へ支払いに行くよう言われました。
ボクは今まで、交通安全協会の活動のお陰で交通事故が大幅に減少した、というグラフなりデータなりを見たことがありません。
悲惨な交通事故は、毎年たくさん起きており、なかなか無くならないのです。

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あとがき
とある都道府県の交通安全協会の平成16年度収支決算報告書によると、支出のうちの約70パーセントは職員や天下り役員などへの給与で、交通安全啓蒙費は約20パーセントだったそうです。

むかし、TBSの「噂の東京マガジン」を見ていたら、「交通安全協会は国からの助成金で十分に活動できるのに、なぜ協力金を集めているのか」という問題をやっていました。
運転者講習センターの受付窓口は、警察庁からの通達により、むかしと変わりました。
しかし交通安全協会は、むかしと何も変わっていないのかも知れません。
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