滋賀県湖南市平松(こなんし ひらまつ)には、ウツクシマツ自生地があります。
山中ではあるものの、旧東海道からほど近いこともあり、江戸時代には多くの人が訪れたのだとか。
天然更新(世代替わり)が行われているので、自生地が国指定天然記念物になっているそうです。
ウツクシマツそのものは、何にも指定されていません。
ということで、平松のウツクシマツ自生地を見に行ってきました。
ついでに、美松山(びしょうざん)三角点にも登っています。

うつくし松駐車場へ
まずは、うつくし松駐車場へ向かいました。
JR甲西駅南口の交差点から南へ入って、坂道を登っていくと、道路の左側に駐車場があります。
ところが道路と駐車場のあいだには側溝があって、グレーチングが一部しかありませんでした。
側溝の幅がせまいので渡れそうですが、ハマらないように注意が必要です。

なお国の天然記念物に指定されているのは、平松ウツクシマツ自生地という場所です。
駐車場に設置されている案内板に、誤解を招く書き方がされているので、勘違いしてしまいそうです。
平松うつくし松自生地を散策


うつくし松はすでに駐車場から見えていたのですが、折角なので自生地の中を歩きに行きました。
もう一つの駐車場の脇から坂道を登ると、松を眺めるための広場が整備されています。


さらに高いところまで登って、うつくし松の点在する斜面を見下ろしてみました。
一般的な松とは違ってシュッとしており、根もとで分かれた枝がまっすぐ上方へ伸びています。


ちなみにシダ植物を踏み分けながら、てっぺんまで登っていくと、段だんになった平坦地があるだけでした。
もしかすると砦跡かも知れませんが、説明板などは何もありません。
美松山三角点に登って


さてうつくし松自生地のつぎは、美松山三角点まで登ってみることに。
うつくし松の生えている山が美松山だと思いますが、地理院地図では三角点のある場所が美松山です。


ジメジメした谷あいの山道を歩いていると、多度神社を指し示す案内板がありました。
美松山三角点のことだと思われますが、地元の人は認めていないようで「美」の字も書かれていません。


ということで、美松山三角点にたどり着きました。
気づきませんでしたが、祠(ほこら)のとなりの木に、山名板がぶら下がっていたようです。
あとがき
近江国輿地志略下巻(コマ番号:11/241)を調べると、「美松」に「みごまつ」とルビが振られていました。
たぶん「見が欲し松(意味:見たい松)」が転訛したしたものと思われます。

うつくし松は江戸時代、多くの人が訪れる観光名所だったそうです。
ところがうつくし松を見るためには、旧東海道から山中へ寄り道しないといけません。
多くの人を呼び寄せるため、うつくし松に「みがほしまつ」という別名を付けたのではないでしょうか。
現在、旧東海道を歩いて旅する人はいなくなり、訪れる人は少なくなりました。
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